まつげを濃く長く見せるための美容法は昔からありました。
古代エジプトでは虫除けとしてアイシャドウのように石を粉末にしたものが塗られていましたが、
それから何千年も経った20世紀半ば、ココシャネルがツタンカーメンの目の縁取りからインスパイアを受け、
アイラインが誕生したと言われています。
1913年にアメリカでメイベリンの創始者が開発しマスカラが誕生しました。
創始者の妹が目の小ささで悩んでいたので、石炭の粉とワセリンを混ぜてまつ毛につけるのを進めたそうです。
それによりまつ毛が濃くなる効果が発揮され、マスカラが考案されたということです。
日本では昭和10年頃に眉墨でまつ毛メイクを楽しんでいたそうです。
1947年には日本でつけまつ毛が発売されました。
はじめ、つけまつ毛は当時の芸者さんたちが自分たちの髪で一本一本編んでつくっていたものとされています。
それを1947年にKOJIが初めて商品化したものがつけまつ毛です。
しかし、つけまつ毛はなかなか一般の女性からすると抵抗があるものでしたが、1960年代よりツイギーが火付け役となり一気にブームとなりました。
そのころからまつ毛美容は盛んになり、定番の美容法として定着していきました。
マスカラやつけまつ毛など自分でメイクを施す方がほとんどでしたが、それに変化があったのが1980年代です。
サロンでのまつ毛パーマが誕生し、毎朝のメイク時間が短縮されるととても人気になりました。
その後、2000年頃には人工のまつ毛を水に強い接着剤でまつ毛につけるまつげエクステが誕生しました。
諸説ありますが、発祥の地は韓国と言われており、初めまつ毛エクステはつけまつ毛を生産する時にに余った毛束を活用するために開発されたのです。
日本に登場したのは2003年ごろからで、徐々に浸透していきましたが、技術者の技術も知識も未熟な面が多くトラブルが続出でした。
取れやすかったり、まつ毛が抜けてしまったりと、綺麗になるための方法だったまつ毛エクステが、逆にまつ毛を傷める原因となっていました。
グルー(接着剤)によるトラブルも多く、目元に関する健康被害を訴える方もいました。
こういった流れを受け、2008年に美容師法が施行され美容師免許保持者でないと、まつ毛エクステをお客様に施してはいけなくなりました。
現在では、技術者の技術・知識はもちろんの事、商材に関しても以前に比べうんと質が上がっています。
今やまつ毛エクステは、しみなくて当たり前、自まつ毛減らなくて当たり前、目元の皮膚がチクチクしなくて当たり前が最低限のルールと言ってもいいでしょう。
主流は自まつ毛1本に対し、エクステを1本付けるシングルラッシュ(1 by 1)。
他には、自まつ毛1本に対し極細の2~5本のエクステをファン(扇状)にして付けるボリュームラッシュなど、様々な技法があります。
サロンの数もうんと増え、まつ毛美容に関する環境は年々多様化していますが、まつ毛エクステはまだ歴史の浅い技術です。
今後の展開もまだまだ楽しみですね。